20年の月日

秋田 真志
高塚校門事件が起こった1990年当時登録2年目、ひよっこ弁護士だった私は、いつの間にやら22年目、ばりばりの中年弁護士になってしまった。長女はまもなく17歳、あの日の石田僚子さんと同じ高校2年生である。
さすがに20年も経つと、様々な経験をする。個人的なことを言えば、1991年に起こった信楽列車事故の訴訟が思い出深い。受任当時は、解決の道のりは、途方もないように感じた。実際、判決の確定まで11年半を要した。しかし、それも今はもう遠い昔話になってしまった。
20年経っても、なかなか進まないこともある。大阪弁護士会の刑事弁護委員会の一員として、1992年に取り組み始めた取調べの可視化問題は、警察や検察の頑迷な抵抗の前に、今なお現在進行形である。
振り返って、高塚校門事件の背景にあった管理教育は、この20年でどうなったのだろうか。娘は高校生であるが、放任主義の私には、正直語る資格はない。ただ、この20年で、監視社会が確実に進行していることだけは間違いなさそうである。
(あきた・まさし 弁護士)
赤ちゃんの虐待えん罪: SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する!
秋田真志(著,編集), 古川原明子(著,編集), 笹倉香奈(著,編集) / 現代人文社 / 2023年4月18日
<内容>
日本で虐待疑惑があるとSBS/AHT仮説に基づいて親子分離や捜査が進められるが、海外ではその仮説には問題があるとされ、多くの人が冤罪被害に遭っている。SBS/AHT仮説に基づく虐待疑惑には慎重に対応すべきであり、根本的に見直す必要がある。本書では、この問題を明らかにし、誤った親子分離や訴追を防ぐための対策を考える。
取調べ可視化―密室への挑戦: イギリスの取調べ録音•録画に学ぶ
小坂井久(編集), 秋田真志(編集) / 成文堂 / 2004年1月1日
<内容>
適正な手続を実現し被疑者•被告人の防御権を保障する試金石である「被疑者取調べの可視化」について解説。すでにイギリス刑事司法手続に定着している「被疑者取調べのテープ録音手続」に関する調査取材の成果を報告する。
実践! 刑事証人尋問技術part2: 事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(GENJIN刑事弁護シリーズ20)
ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ(著,編集) / 現代人文社 / 2017年9月20日
<内容>
季刊刑事弁護の大好評連載を書籍化。「成果をあげた尋問」を分析して、「誰にでも伝承可能なルール=ダイヤモンドルール」を体系化すべく研究を行ってきた成果の第2弾。2009年に刊行した前著『実践!刑事証人尋問技術――事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール』での議論をさらに深化し、また、前著では十分に触れられなかった「尋問の組立て方」やそのための「ブレーン•ストーミング法」、「専門家証人に対する尋問」などについても、ダイヤモンドルールを抽出した。
実践! 刑事証人尋問技術ー事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(DVD付) (GENJIN刑事弁護シリーズ(11))
ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ(著) / 現代人文社 / 2009年4月20日
<内容>
刑事尋問で成功するための「ダイヤモンドルール」を抽出して、解説する。付録DVDでは、ダイヤモンドルールを用いない場合と用いた場合をそれぞれ実演。本とDVDで学んで、あなたも尋問の達人に。








