少年犯罪

出会い系サイトとこの国の形

弁護士 秋田真志

 最近、「テレクラ」「出会い系サイト」がマスコミをにぎわすことが多い。
 マスコミ曰く、「◯◯容疑者は、出会い系サイトで知り合った少女とみだらな行為をしたとして逮捕された……。ついには裁判官まで、御用となってしまった。

 それが世の流れなのか、私も、この1年の間に、テレクラ•出会い系サイトが関連する刑事事件を立て続けに受任することとなった。
 もちろん、この手の事件の主人公は、容疑者だけではない。相手になる少女たちがいる。守秘義務もあり、詳しいことは書けないが、私の受任した事件は、13歳、14歳の女子中学生が、それぞれに出会い系サイト、テレクラで知り合った男性と肉体関係に及んだというもの。
 二つの事件は、相互に全く関係ない。しかし、弁護士の側から見た事件の経過は、よく似ている。どちらも、当然親には内緒で遊んでいた。ところが男性との関係が、親にばれて大騒ぎ。親は男をゆるすまじとの剣幕で、警察沙汰に。女子中学生は、まさか男性とのきっかけがテレクラ•出会い系サイトとは言えず、どう見てもその場しのぎのウソを重ねて……。

 そんな話を峯本弁護士に話したら、ミネやん曰く、「今や女子高生の体験率は5割を超えている」。その反面、「せいぜい避妊率は2割程度」。親は、知らぬが仏。かくして、あちらでもこちらでも望まれない出産。結果、子育ての心構えもできていない未熟な親たちが、子どもの虐待に走ってしまう……。
 ミネやんの話に、13歳、14歳で、奔放な性と「出会ってしまった」少女たちの将来に、つい思いをめぐらせることになった。

 しかし、いくら私が、彼女たちの将来を考えてみたところで、男性側の刑事弁護人である私には、そんな少女たちとホンネで話し合う機会はない。もし、ホンネで話そうとしたら、彼女たちは、どんなことを言うのだろう。「うるさいわね。何をしようと私たちの勝手じゃない。ほっといてよ…」が関の山だろうか?


赤ちゃんの虐待えん罪: SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する!赤ちゃんの虐待えん罪: SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する!

秋田真志(著,編集), 古川原明子(著,編集), 笹倉香奈(著,編集) / 現代人文社 / 2023年4月18日
<内容>
日本で虐待疑惑があるとSBS/AHT仮説に基づいて親子分離や捜査が進められるが、海外ではその仮説には問題があるとされ、多くの人が冤罪被害に遭っている。SBS/AHT仮説に基づく虐待疑惑には慎重に対応すべきであり、根本的に見直す必要がある。本書では、この問題を明らかにし、誤った親子分離や訴追を防ぐための対策を考える。


取調べ可視化―密室への挑戦: イギリスの取調べ録音•録画に学ぶ取調べ可視化―密室への挑戦: イギリスの取調べ録音•録画に学ぶ

小坂井久(編集), 秋田真志(編集) / 成文堂 / 2004年1月1日
<内容>
適正な手続を実現し被疑者•被告人の防御権を保障する試金石である「被疑者取調べの可視化」について解説。すでにイギリス刑事司法手続に定着している「被疑者取調べのテープ録音手続」に関する調査取材の成果を報告する。


実践! 刑事証人尋問技術part2: 事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(GENJIN刑事弁護シリーズ20)実践! 刑事証人尋問技術part2: 事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(GENJIN刑事弁護シリーズ20)

ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ(著,編集) / 現代人文社 / 2017年9月20日
<内容>
季刊刑事弁護の大好評連載を書籍化。「成果をあげた尋問」を分析して、「誰にでも伝承可能なルール=ダイヤモンドルール」を体系化すべく研究を行ってきた成果の第2弾。2009年に刊行した前著『実践!刑事証人尋問技術――事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール』での議論をさらに深化し、また、前著では十分に触れられなかった「尋問の組立て方」やそのための「ブレーン•ストーミング法」、「専門家証人に対する尋問」などについても、ダイヤモンドルールを抽出した。


実践! 刑事証人尋問技術ー事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(DVD付) (GENJIN刑事弁護シリーズ(11))実践! 刑事証人尋問技術―事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール(DVD付) (GENJIN刑事弁護シリーズ(11))

ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ(著) / 現代人文社 / 2009年4月20日
<内容>
刑事尋問で成功するための「ダイヤモンドルール」を抽出して、解説する。付録DVDでは、ダイヤモンドルールを用いない場合と用いた場合をそれぞれ実演。本とDVDで学んで、あなたも尋問の達人に。



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